リウーを待ちながら

富士山麓の美しい街・S県横走市で起きた事件を描いた小説「Riu o Machinagara Raw free」は、自衛隊員が吐血して昏倒し、同じ症状の患者が相次いで死亡するという展開から始まる。病院には患者が殺到し、抗生剤が不足しており、病因が分からず事態は悪化の一途をたどる。主人公の内科医・玉木涼穂はこの混乱の中で事件の真相を追求していく。生活感溢れる描写が絶望を増幅し、医療サスペンスの新星が描くアウトブレイク前夜の緊迫感が読者を引き込む。